賞味期限切れベンツは喰えるか?

1974年式Mercedes Benz 280CE
DS1台では、真夏はかなり辛いことは体験済みなので、楽しく快適なA/C付きAT車は 無いかなーと探していた矢先・・・・・
飛んで火に入る夏の虫。そこへ登場したのが1974年式、ベンツ280CE(W114型)です。 さすがに条件をクリアしているとは言え、30年前のれっきとした旧車です。本当はもっと 新しいフツーの車にしようと思っていたのになー。でも、縦目のクーペと言われちゃねー、 つい「買う」と言ってしまったんです。
と我が家に来て一年半。色々と賞味期限切れに遭遇しましたが、さすがに1970年代 のベンツでした。頑丈で使いやすい車ですので、整備に自信が無いけど、旧車っぽい 車に乗りたいというミーハーな方にはお勧めの車です。最近、この次の世代の280CE (W123型)も人気が高まりつつあるようですが、どうせならW114にしましょう。


年式:1974年
形式:W114
エンジン:(DOHC2800cc 直列6気筒)
ミッション:4速AT
全長:4710mm
全幅:1795mm
全高:1395mm
ホイルベース:2850mm


03/3/20 ご紹介1 縦目顔
この車は200シリーズと呼ばれるコンパクトカーの74年モデルで、初代は1968年に登場しました。 280は排気量2800ccを、Cはクーペを、Eはインジェクションを意味します。
ヘッドライトが縦目なのはこのモデル(W114)までで次のW123型では横目に変ります。 実はこの縦目顔も、73年に一度イメチェンを受けており、68年から73年まではベンツグリルの 幅が狭く、縦長でした。
ワイパーも「ケンカワイパー」なのが時代を感じさせてくれます。
03/3/20 ご紹介2 ベンツマークがでかい!
現代のモデルより明らかにでっかいバッチがまんなかにデーン!と付いています。 トランクの容量もかなりのものです。フィラーキャップはナンバの右、お尻から給油するの もクラシックスタイルです。給油口がお尻だと、GSに入ったとき、ポンプが右でも左 でもOKなので便利です。
小さいテールランプも形状(ベンツはこれを汚れが付き難い形状と説明した)は次世代と同じです。
03/3/20 ご紹介3 三角窓
同型のセダンでは既に三角窓は廃止されていますが、クーペには残っています。(W123型で廃止) 開閉こそ出来ませんが、縦目顔には三角窓が似合います。
セダンより全高が45mm低いため、全長が長く見えますが、意外にもSLCより短いのです。
03/3/20 ご紹介4 エンジン
当時、新開発!!の電子制御式燃料噴射装置付き2.8リッタの直6DOHCを積んでいます。次世代 (W123)では、機械式のKジェトロ燃料噴射に変更されます。電子制御式の方が新しい感じが しますが・・・何か不具合でもあったのか???
このエンジン、マッタリとした吹き上がりと、下からのトルク感はアメ車に近い感覚です。 2.8にしてはパワフルな加速感があります。ATE製のブレーキは、タッチも効き味もすごく良く、パワステはアシスト量が少ないヨーロッパ趣味。私は限りなく軽いアメ車のパワステが好きなんで すが、まぁ、許しましょう。(パワステはシトロDSの方がはるかに軽い)
エアコンは当時としては定番のバカでかいボルグワーナのコンプレッサです。ガスホースの 取り回しがシンプルなのでガス漏れは少ないかも。今のところしっかり効いていますが、夏前には ガスチャージが必要でしょう。室内のブロアがやや弱めなのが気掛かりです。
03/3/20 ご紹介5 室内
10年前にVWを降りて以来、久々のドイツ車です。室内には懐かしいニシドイツ車の匂いがします。 思ったより素っ気ない内装です。パネルには大きな二連メータと時計だけで、その中に スピード計、水温計、油圧計、燃料計が収まり、タコメータはありません。電気で動くものはワイパーとパワーウインドウだけ。
03/5/1 エアコンがいまいち効かない
とりあえずガスチャージを実施。
リキッドタンクの覗き窓から見えるガスも、気泡がなくなり透明になっています。これでかなり効くようになりましたが・・・
03/5/1 電動ファンが回らない
せっかく付いている電動ファンが回りません。温度センサ等配線をチェックしましたが どうやらリレーがいかれているようです。で、めんどくさいのでエアコンスイッチが入ったら 水温に関係無く、ファンが回るようリレーを新設しました。エアコンを使う夏場は常時電動 ファンが回っている位でちょうどいいでしょう。
03/5/1 コンプレッサがきちんと留まっていない・・その1
電動ファンはビュンビュン回り、室内には冷たい風が吹くようになったものの、コンプレッサの 動作音がひどい。とんでもない騒音と振動を発するのです。これはいよいよ本体が寿命かと思いきや よーく観察すると、コンプレッサの下部を留めているはずのボルトが抜けてステーが遊んでいます。 これじゃ振動するわけだ。
コンプレッサはアメリカ製なのでインチピッチのボルトを購入し、がっちり締めて一件落着と思ったら・・・・
03/5/1 コンプレッサがきちんと留まっていない・・その2
まだ、多少ビビリ音が出ます。と、今度はこっちのボルトが緩み気味だ、と思って締めても締まらない。 ねじ山(メス)が舐めていました。いったんボルトを抜いたら過去にヘリコイルの痕跡を発見。 穴を広げて1サイズアップでヘリコイルしようとも思いましたが、相手はヘッド部の水路です。 貫通したら大惨事ですので、ヘリコイルはあきらめ、残ったねじ山にロックタイトをたっぷり塗って ワッシャ、スプリングワッシャを噛ませ締められるところまで締めました。
トドメにコンプレッサ専用マイクロロンを注入!!これは一度ガスを抜いて、再度マイクロロンとガスを注入するという作業なので、実施については特約店にご相談下さい。
03/5/2 スロットルポジションセンサ不調??
息つき現象が発生するのです。
アクセルを踏んだり放したりしているときは発生せず、微量のアクセル開度 を保った状態(60〜80kmで巡航)で走っていると、かぶった時と言うか、点火 ミスしたときのような息つきが数分に1回の割りで発生していました。 デスビやプラグワイヤ等を確認しましたが、この周辺は既に交換済み の状態でしたので特に不具合は見つかりませんでした。もしかすると前 オーナもこの息つき現象を治そうと点火系に手を入れたのかも知れません。 では、次はどこをチェックしようかと観察し、スロットルポジションセンサなる ものを見つけました。私はキャブの車ばかりいじってきましたので、インジェ クションについてはチンプンカンプンですが、どうやら、このセンサがアクセル と連動してアクセル開度を電気信号としてインジェクションシステムに送っている ようです。恐る恐る黒いプラスチックカバーを開けてみました。
うーん、何のことはない銅でできた接点上を端子が滑るだけの構造です。 エンジンを掛けて端子部分をいじってみました。すると、走行中に発生する 息つき現象と同じ状態が起きる場所がありました。これは接点不良かな?? さっそくばらして、接点を磨き、CRCで拭いて再度組み付けたところ、吹け 上がりもよくなり、例の息つき現象も無くなっていました。
頻繁に擦れる接点部分は銅板が減っていて、交換時期(賞味期限)は近いようです。
03/5/2 パワーウインドウ不良
ガラスをいっぱいに上げた際、5mm程度定位置より上がってしまうため その状態でドアを閉めると、ガラス上端がウエザストリップを超え、屋根の縁 に当たってしまうのです。勢いよくドアを閉めると割れる可能性もあるため、 ドアの内張を剥がして内部構造を調査しました。すると・・・・
ご覧のようにあちこち溶接や修理の痕を発見。そこいら中のナットが緩んで おり、それらを締め、各部をグリスアップしたところ、動きもスムーズになり、 定位置で止まるようになりました。
03/5/24

クラシック化1 鉄ホイル&ホイルキャップ
74年のメーカカタログにはアルミホイルを装着した姿が掲載されてい ますが、やっぱりボディカラーと同色のホイルキャップを付けた方が かっこいいでしょう?
しかしそのためには14インチの鉄ホイルが必要です。と思って探して いたら、電装屋さん(コンプレッサにマイクロロンを入れてくれた)の庭先 に発見。早速交渉し、アルミホイルと交換してもらいました。 キャップはヤフオクにて落札。メデタシメデタシ!
しかし、タイヤの組み替えってのも結構な労力・・・

アルミから鉄に替える際の注意点として、リアはアルミホイル用の長いホイルボルトを そのまま使ってはいけません。鉄ホイルは薄いのでボルトの先端がハブ内に入り 過ぎて、サイドブレーキを壊してしまします。
03/5/25

クラシック化2 テールランプ
73年から採用された「汚れが付いても視認性が確保される形状」のテールレンズ(写真上)はどうしても好きになれず、旧型の テールランプはカッコいいなーと思って旧型の写真を眺めていた時、もしかしたら旧型が無加工 で付くんじゃないか?とピン来ました。と言うのは、写真で見る限り大きさも電球の配置(尾灯、 ブレーキ、ウインカ、バック)も同じだからです。
早速ヤフオクの「部品取り車」カテゴリを検索し、200シリーズ旧型を発見。見事旧型テールを ゲットいたしました。
予想は的中、見ての通り(写真下)何の加工もすることなくピッタリ付きました。メッキの縁がある分 レンズが一回り小さく、よりクラシックな雰囲気です。
03/7/5 エアコンコンプレッサO/H
外気温30度で、冷房能力は既に限界を越え、2003年6/21は、6月としては異常に暑く、 気温はお昼ころ30度に達していました。
それまで、それなりに効いていたクーラーも、さすがに効き目が悪くなり アイドル状態ではエアコンの低圧側のラインを触っても冷たくありません。 こりゃ、夏本番では相当辛いなー、と思って前回コンプレッサにマイクロロン を入れてもらった電装屋さんに診てもらいました。
診断結果は「コンプレッサの圧縮不良」。でもO/Hすればまだまだ使える ということなのでO/Hし、ついでにリキッドタンク(レシーバドライヤ)の 交換と、今後のために冷媒(ガス)を134に変更するための改造を施す ことにしました。
写真を見ての通り、ピカピカになって戻って来たコンプレッサ。134の文字 が眩しく光っています。たぶんこのタイプのコンプレッサを134化した事例 はそう多くないでしょう。もちろんエアコンの効きはばっちりです。
03/7/5

強化型オルタネータに交換
エアコンをフル稼働させた状態で市街地走行すると、徐々に電圧が下がり11Vまで落ちてしまいました。 古いベンツに詳しい電装屋さんの話では、元々エアコン全開で渋滞するような使い方を想定していない ので、この頃の年式のベンツは夏場のバッテリ上がりのトラブルが非常に多かったそうです。裁判事例 もあるとのことです。
そこでその電装屋さんはワイパー、ヘッドライト、エアコン、ステレオを稼働させる日本の梅雨の夜でも 大丈夫なオルタネータを作ったと豪語していたので、その言葉に釣られて交換してもらうことにしました。

写真上;ちょっと見えにくいですが今回装着した強化版
写真下;ノーマル(過去に日本製に換装されていた。結構新しい。)
03/11/15 ブレーキフルード補充
前後に大きく車体姿勢が傾いた時に、パーキングブレーキランプが 点くようになりました。てっきりスイッチが甘くなっているものと思い 狭いダッシュ下から手を入れてスイッチを外して点検したのですが、 何の異常もありません。
調べてみると、原因はブレーキフルード不足でした。 フルードの警告ランプとパーキングブレーキランプは兼務なんですね。

フルードが減って(漏れて)いなくても、ブレーキパッドが減ると、その 分フルードがキャリパ側に流れますから、リザーバ内の油面が下がっ て点灯します。
今回も、漏れはありませんでしたので、そろそろパッドの残量をチェック しなけりゃいけないということのようです。
03/11/15 ラジエータホースから水漏れ1
仕事で大磯に向かって走っていたとき、「今日は暑くもないし、渋滞もしてい ないのになぜか水温が上がるな」と思っていました。
水温計を気にしていたのですが、高速道路を降りてしばらくしたら、ついに水温が 100度を越えてしまいました。
こりゃいかんと思って、急遽路肩へ止め、ラジエータを触る。あれ?熱くない。 普通こういうときは触れない位熱くなっているもんです。キャップに雑巾を被せ キャップを緩めました。ブシューっと来ると思いましたが、それもありません。 ということは圧が低いという意味。どっか漏れてる証拠。
その場はとりあえず水を補充(2リッタも入りました!)し、無事帰還。

犯人はこいつだった
エンジンを掛け、しばらく様子を見ていると、漏れて来ました。 場所はウォータネックの下。一瞬ポンプがいかれたかな? と思いましたが、音も出ていないので、エンジンを停め、漏れ の場所へ手を入れると、ポロリとホースバンドの締め具が 出て来ました。
ありゃー、バンドが腐ってますよ。
03/11/22 ラジエータホースから水漏れ2
バンド一本交換するだけなのですが、場所が場所だけに、手が入らない。指で触れる ことができるのはラジエータホースの前面部分のほんのわずかな部分だけ。 この状況で、バンドをラジエータホースの裏へ通すのは至難の技。
1時間ほど試行錯誤の上、私は観念してラジエータを外す ことにしました。
しかし、ラジエータの左側にはオイルクーラが抱きついてボルトで 留まっており、このボルトを抜くのに、エアコンのコンデンサ を外さなければならず、それを外すには電動ファンを外さな ければなりませんでした。
さらに、ラジエータ下部には、ATFを冷やすためにATFの パイプが接続されていました。
長年ラジエータに抱きついたオイルクーラは容易なことでは離れてくれ ませんでしたし、ATFのパイプを外すと当然ATFがダラダラ出て来るのでした。
03/11/22

ラジエータホースから水漏れ3
ファンやファンベルト等、外せるものはみんな外して、やっと手が入るようになり バンドを通して締め終わったときは既に夕方。急がないとあっと言う間に暗くなっちゃう。
その後、元通りに組んでエンジンを掛け、LLCを補充し、各部に漏れが無いことを確認して完了!
翌日ATFを購入し、減った分を補充。
(下の写真)こういうとき便利な愛用のジョウゴ、いいでしょ!。
04/4/10



オイルとオイルエレメントの交換
中身だけ交換するタイプです。嬉しいことにドレンプラグの銅ワッシャもセットになっていました。
エレメントは、車体の下からでないと外すのが難しい位置です。 エレメントのケースを緩める前に、ドレンからオイルを全て抜き取って下さい。 エレメントをセット
古いエレメントを外し、ケースの内部をよく洗浄し、新しいエレメントをセットします。

上下に穴が開いていますが、大きい穴がエンジン側(写真では右側)に来るよう装填して下さい。
新しいオイルを入れ、しばらくエンジンを回した後、オイルレベルをチェックし、エレメントケースやドレンプラグ周辺 から滲みが無いことも確認して完了です。
04/10/23 短い間でしたが元気でね
昨年の3月から1年半。楽しいベンツライフを満喫しましたが、縁あって遠くのオーナの元へ旅立つことになりました。


トップページへ