GT1300Junior錆取り日記

輸入代行は吉と出る凶と出るか?
輸入―通関―予備検まで代行してくれる業者の紹介でGT1300Juniorを輸入しました。
「一年前にイタリヤでボディレストアとエンジンオーバホール済み」とふれこみで、写真だけ見て輸入してもらうわけですから、かなり冒険 と思われるかも知れませんが、業者さんとじっくり話しをして納得出来れば、買ってお得だと思います。リスクがある分、世間相場よりうんと 安く購入することが出来ますし、契約から納車までどんな車が来るのかドキドキしながら待つ間が堪らない!
で、どんな車が来たかと言うと、これがとんでもなくきれい。色といい塗りといい文句無し。日本でこのレベルまで仕上げたらもっと高く付く でしょう。ボディラインは完璧ですし、ドアのチリもぴったり。


年式:1967年
型式:10530
エンジン:AlfaRomeo伝統のDOHC1290cc直列4気筒
ミッション:5速マニュアルフロアシフト
クラッチ:機械式
ブレーキ:4輪ディスク(サーボ無し)
全長:4076mm
全幅:1587mm
全高:1320mm
出力:公称89馬力/6000回転
タイヤ:155SR15

デザインはベルトーネ時代のジウジアーロです。


00/7/30 ご紹介その1 ダンツキ
GT1300Junior(以下GTJ)は1966年にGiuliaSprintGTVeloce(1600cc)の廉価版として 発売され、以降、シリーズ4までマイナーチェンジを受けながら作り続けられた Giuliaクーペ一番の長寿モデルです。私が手に入れた1967年式のこの車は、GTJの最初期モデルです。
GiuliaSplintGTから受け継がれたこの顔はダンツキと呼ばれシリーズ2まで続きます。 ダンツキとは写真でもわかる通り、ボンネット先端に段が付いているからで、日本では 人気がありますが、アメリカでは「錆びやすい車の象徴」として嫌われているんだそうです。
00/7/30 ご紹介その2 ハンドル
最初期モデルだけ、この三本スポークのハンドルが付いています。(後年二本に変更される)
00/7/30 ご紹介その3 ペダル
ブレーキとクラッチペダルは床からニョキっと生えています。ちなみにクラッチ はワイヤー式で、ちょっと踏みごたえがあります。ワイヤーが切れると大変なの で、早速予備を買っておきました。
00/7/30 ご紹介その4 ブレーキ
もちろん4輪ディスクブレーキですが、サーボ無しの単なる油圧ですからかなりの踏力を必要とします。
サーボ無しのディスクブレーキははっきり言って効かない!
00/7/30 ご紹介その5 ホイルキャップ
GTJは廉価版ですから、キャップも質素な作りです。でも、35年 も経つと、質素だろうが何だろうがオリジナルであることが大事 ですね。
00/7/30 ダイナモ臨終につきオルタネータに交換
納車された帰り道、走行中いきなりヘッドライトが暗くなってしまいました。 これは発電されていない証拠です。このまま電気を使い果たす と路肩の粗大ゴミになってしまうので、ライトを全て消し、月明かりを頼り になんとか家まで辿り着くことができましたが、一度キーをOFFにし、再度 ONにしてみたところ、案の定スタータはカチリとも言いません。 途中でエンストしなくて良かったあ!
マニュアルを見て、レギュレータとバッテリの間の電流を測定したところ テスタの針は微動だにしませんせした。早速電気屋さんにダイナモのオーバ ホールをお願いしましたが、傷みがひどく修理不能との答え。そこで、 代替案として国産のオルタネータを付けることにしました。写真の通り 誂えたようにぴったり付いているオルタネータは三菱ミニカ用です。BOSCH なんて6万円以上しますが、これはその半分以下ですよ。
00/7/30 コンデンサ臨終
急にエンストしたり、3000回転以上でブスブス言って全然吹けません。 最初、ポイントが悪いのかと思ってポイントを清掃し、接点を磨いたりと、 デスビ周りを点検していたらコンデンサが怪しい気配。早速トヨタ製のモノ と交換してみたら症状がピタリと治まりました。また、コンデンサだよぉ! セドリックの再生でもコンデンサが原因のエンジン不調に見舞われましたが、 今回もまたコンデンサでした。小指の先ほどの部品ですがこんなもの1個で 車は走らなくなってしまうんですから、車ってのも微妙なバランスの上に 成り立っているもんだ、と改めて認識した次第です。
00/7/30 バッテリアース線交換
バッテリのマイナス配線(アース線)が切れかけていました。エンジンルーム は振動が多いので、硬い線だとどうしても永い年月の間に疲労して切れてしま います。今回使用したのはビートル用のアース線、撚ってあるので振動に も強そうです。
00/7/30 リザーバタンク新設
この年代の車は必ずと言っていいほど冷却水のリザーバタンクは付いていません。 ですから、圧力が上がって膨張した冷却水はドレンチューブから外へ排出されて しまいます。今回取り付けたのはホンダのバイク用のリザーバタンクで、バッテリ の横に両面テープでくっつけてあります。
00/8/14 タンク補修
満タンにしたらポタリポタリとガソリンが漏って来ました。引火でもしたら 大変ですから放置できません。早速ドレンからガソリンを抜き取り、タンク を引っ張り出して穴が開いていないか確認しました。すると、目には見えま せんがジワリと滲んで来る箇所を発見。タンクを固定するためのネジ穴に ほんの少し亀裂が入っているようです。
これくらいの亀裂ならハンダで十分と思い、130セドリックのリザーバタンク補修 の際購入した150Wの巨大ハンダゴテでネジ穴ごと塞いでしまいました。
00/8/19 キャブレタオーバーホール
外せる所は全部バラバラにしてパーツクリーナやブラシで洗えばこの通りきれいになり ます。効果のほどは、ちょっと良くなったかな?くらい。 まぁ、気は心って言いますから。
00/8/19 アクセルリンケージ補修
キャブのO/H時にわかったことですが、アクセルペダルの動きを伝えるリンケージ のピロボールを受ける「穴」が摩耗のため大きくなってしまい、簡単にピロボール が抜けてしまう状態でした。これを無理矢理針金で縛るという荒技で処置されてい ましたので、抜け防止に割ピンを入れる細い穴を明け、ピンを通しておきました。 しかし知らぬが仏とは良く言ったもの。走行中抜けなくてヨカッタ・・・・
00/9/2 ミッションオイル交換
特にシフトが渋いとか、鳴くというわけではありませんが、先日交換した エンジンオイルの状態から、きっとミッションオイルも交換時期だろうと 思いミッションオイルを交換しました。 写真はドレンボルト、磁石になっているボルトの先に金属性のスラッジが こびり着いています。 今回使ったのはWAKO'Sのギヤオイル。交換したらシフトフィーリングが 変わるかな?と思いましたが良くも悪くもなりませんでした。 きちんと整備されたRomeoのミッションは、もっとコクッコクッと入るはずな んですが、いまいち「コクコク感」に欠けるんですよ。
00/9/9 バルブクリアランス調整
購入当初から3000回転以上でカタカタ異音がしており、未だ原因不明です。 まずは手近なバルブクリアランス調整をして、様子を見ようと思い、友人 からシムセットを借りて来ました。 手順はヘッドカバーを取って、各気筒の吸気側と排気側のカムシャフトと バルブの頭に被さっているカバーとの隙間をシクネスゲージで計り、 適正値から外れている場合、その差分をシムを交換することにより調整します。 計測してみると、8カ所全て適正値よりかなりクリアランスが少ない状態でした。
写真は、シムを交換する際、カムチェーンを外さなければならないため、 外したジョイントをエンジンの中に落とさないよう、ウエスで保護している様子です。 GiuliaSuperのときはこれをやらなかったため、ジョイントをエンジン内に 落としてしまい、オイルパンを外すはめになりました。
00/9/9 エキパイマウントブッシュの交換
ミッション下部にエキパイを支えるステーが付いています。そのステーには 2ヶゴムのブッシュが付いていて、ステーはそのブッシュによって揺れを吸収す る仕組みになっているのですが、漏れたオイルなどでグニャグニャに変形 し、ブッシュの役目を果たしていませんでした。写真のようにゴムが伸びて カラーから大きくはみ出しています。
00/9/9 エキパイマウントブッシュの交換後の様子
ミッションの両側に2ヶ丸いものが見えています。これがブッシュ。13mmのボルト ナットを外せばステーごと取れますが、ブッシュは圧入されていますので、交換 にはプレス機が必要です。
00/9/16 ミッションリアシール交換
部品としては小さなリング状のオイルシール一ヶですが、 この交換は結構めんどくさい! 先週交換したエキパイ のマウントブッシュが傷んだのも、そもそもこのオイルシールが 劣化して漏れたオイルによる浸食が原因ですから、ガッツ を出して交換することにしました。
まず、プロペラシャフトのデフ側と、センターのベアリング のマウントを外します。次にミッション側とプロペラシャフト を繋いでいるゴム製のカプリングを外すのですが、この ゴムがくせ者で、ナットを緩めても、ゴムが伸びようとする 力でボルトを押さえつけてしまうのでなかなか抜けません。 しかも左腕は重たいプロペラシャフトを持ち上げています から、まるで重量挙げをやっているようなスタイルで格闘 すること一時間、ようやく外すことができました。
写真はプロペラシャフトを外し終わり、これから問題のオイ ルシールを外しにかかるところ。
オイルシールはドライバなどでこじって外し、新品をハンマ で優しく叩き込みます。シールの内側にオイルを塗ってから シャフトを組み付け、完了ですが、組み付けも外すときと 同じ苦労が待っています。(肩、脱臼するかと思った・・・)
00/10/13 ロアアームにグリスニップル取り付け
GiuliaSuperのときもこれで調子良くなったのでGTJにも同じ処置を施しました。
00/10/21



キャブレータマウントの交換
Romeoを買ったら必ずやらなきゃいけない作業のひとつです。写真でもわかる通り、4番のマウント のゴムがありません。外したときキャブ側にゴム部分がくっついて剥がれてしまいました。 通常は傷んだと言ってもヒビが入る程度ですが、これはかなりの重症。金属の本体とゴムの インシュレータ部分が剥離してしまっていたのです。これじゃエアを吸うわけですね。(写真上)
真ん中の写真はマウントとエンジンの間に入るプレートです。ここは冷却水が通りますので、この 作業をする前に冷却水は抜いておきましょう。そうしないと、プレートを外した瞬間水浸しになります。
一番下の写真はキャブを支えるロッドです。ロッドの下端にはブッシュがついていて、これが ヘタるとキャブが揺れて具合が良くありません。キャブマウントを交換する際は一緒に交換 しましょう。
00/12/2



タイロッドボールジョイント交換
センタと左右タイロッドに付いているボールジョイント6個全て交換しました。 写真上は傷んだジョイント(下)と新品(上)。交換自体はそんなに難しい も作業ではありませんが、取り付けた後、サイドスリップを調整しなければなり ません。調整が楽なように外す前の各ロッドの長さをきちんと計測しておきましょう。
00/12/2 ブレーキマスタの交換
ブーツは破れ、フルードもかなり漏れていました。ブレーキのトラブルは 命に関わりますからケチらず新品のマスターシリンダに交換しましょう。 取り寄せた部品はオリジナルと形状(ラインの付く位置が前後逆)が異なって いましたが、問題無く付きました。
00/12/23 クラッチ交換
異音調査の一環として、クラッチ交換を実施しました。結果は 変わらず。ただかなり減っていたのでクラッチ交換自体は無駄 ではありませんでした。 今年は雪が多く、出動できない日が続きしたが週に一度はエン ジンを暖気するよう心掛けています。ただ、この車、エンジンの 掛かりは絶好調で、いつでもスタータを回した瞬間目覚めます。
01/4/15 入院
埼玉県入間市にあるガッタメラータへ入院することになりました。 目的は購入当初から出ていたエンジン付近からの異音の治療です。 入院前にオイル交換と念入りな洗車を施しました。早く良くなってね。
このショップは今更説明するまでもありませんが、Romeoの神様の お店です。
01/7/7
7月初旬、猛暑の午後
部品の一部が欠品していて、入院が長くなりましたが、ようやく エンジンO/Hが完了し、引き取りに行って来ました。 さすがRomeoの神様の仕事です。納車前に神様の運転で、圏 央道で試乗。いきなり160kmで巡航させたのにはびっくりしま したが、助手席からもエンジンの調子の良さが体感出来ました。 途中から運転を代わり、ローに入れて発進した瞬間にトルクが 太くなっていることが体感出来ました。まるで排気量をアップ したんじゃないかと思う位。 思わず、これで1300ccなのか。。と漏らしたら、神様は「だから Romeoは1300で十分だって言うんです。わかるでしょう?」と 言われました。確かにその通り。 必要かつ十分なトルク感と軽快な吹き上がりの絶妙なバランス。 これがRomeoの1300の正体です。確かに1750や2000になると、トル クが太る分扱い易さは向上するでしょう。しかし、それはもう スポーツカーではなくラグジュアリーカーになってしまう。そん なことを感じながらシフトをアップして行きました。 馴らし中のため、5500回転を限度にするよう言われ、ゆっくり回転 を上げて行ったつもりでしたが、O/H前に比べ、あまりに軽く回る ので、すぐ5000回転位踏んでしまいます。 隣に神様がご乗車されているので、速度は控え目にと思って いましたが、全開の窓から入ってくるエンジン音が気持ち良く、 つい160km位まで出してしまいました。 足周りについては、今回は予算の関係であまり手を入れていま せんが、高速走行時もすこぶる安定していて、不安感はあり ませんでした。
01/7/28

S字結腸破裂
あれ、水温が異常に上がってるぞ! と気づいたのは7/28の涼しい夜 のこと。日中の都心の大渋滞でも90度付近で安定していたのに、どぉして 涼しくなった夜に水温が上がるの??
冷却水のリザーバタンクに水を補給してもすぐ無くなっちゃう。これは 絶対ヘン!と思っても夜だし、とりあえず水を補給しながら家までなんとか 辿り着きました。
写真上
翌朝、「どこから漏れているのかな?」と観察しながら暖気すること10分。
見つけました!漏れてる個所を。S字結腸みたいなヒータホースの付け根からジワジワ漏れ ています。長年熱に晒されたゴムホースが傷んで亀裂が入ったのです。きっと O/Hのとき抜き差ししたのが引き金になったのでしょう。
写真下
通るのはお湯ですから、補修は水道用品に限りますね。水道用のフレキシブルチューブ を適当な長さに切って、形状を合わせます。 ゴムホースはエンジンから離れた部位で バッサリ切って腐った部分は切り捨てます。ゴムホースの、なるべくまっすぐな部分 を使ってフレキシブルチューブと繋ぎ、繋ぎ目には260度まで耐えるバスコークを たっぷり塗っておきます。
01/8/2 京都に営業
長岡京市にこの車を譲って欲しいという方がいて、実車を見てもらうため、 慣らし運転を兼ね、京都往復1400kmツーリングを敢行しました。

写真は、琵琶湖南端浜大津、運転席から撮った浜大津駅前交差点。この路面電車は、 このまま地下鉄に乗り入れてしまうのです。凄いでしょ。都電荒川線 も江ノ電も地下鉄には乗り入れてないもんね。
01/8/3 比叡山で避暑
やっぱり京都は暑い! 暑い下界を避けて涼しい比叡山をドライブ。 道路も延暦寺の駐車場もガラガラなのは、恐ろしく高い通行料の ためか。。。 全線通ると2350円(普通車)。

翌日、試乗会をし、めでたく商談成立。


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